2015年9月26日土曜日

本の向こう側&本紹介(金:沖縄本)与那原恵『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今日は一日、10月4日開催『一箱古本市in BOOK マルシェ佐賀』用に選書していました。
どんな方がイベントに来るのか、どんな本を読むのか、せっかく沖縄から参加するならたくさん買ってもらいたい…と、試行錯誤。
想像しながらの選書は、難しくも楽しい作業です。
そして28日出発する予定ですが、台風到来でどうなることやら。
想像はまだまだ続きそうです。

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

金曜日は<沖縄本>
ご紹介する本はこちらです。




先週金曜日にご紹介した、戦前沖縄と琉球料理を巡る名エッセイ・古波蔵保好『料理沖縄物語』。
そのオマージュともいえる作品が本書だ。
著者・与那原氏は、沖縄出身の両親を持ち東京で生まれ育った沖縄人2世。
ライターになって後、沖縄本島・離島・台湾など自身のルーツを辿る旅をライフワークとして書き続けている(『美麗島まで』『街を泳ぐ、海を歩く』など多数)。
古波蔵氏とは、妹・登美(琉球料理の名店<美栄>創業者)と与那原氏の祖父が結婚していた縁で、親交を深めたという。
さりげなくやさしい古波蔵氏との交流が「上海蟹」の項で大切に書かれている。
他にもぽうぽう・じーまみ豆腐・くうぶいりちー等、料理ごとに家族や出会った人々との記憶・エピソードを綴る書き方は『料理沖縄物語』と同じ。
読み手の気持ちも「わたぶんぶん(おなかいっぱい)」にさせる美味しい思い出がいっぱいだ。
しかし、ルーツが沖縄でありながら旅人である著者の視点は、常にどこか望郷の念、切なさを感じさせる。
それは現代の人々が根に持つ、「故郷を失った」ような心もとなさと通じるようにも思える。
東京・沖縄・離島と移動し、老若男女と触れ合いながら、揺れ動き続ける心を書き留めた、もう一つの『料理沖縄物語』がここにある。

追記
雑誌『coyote no.51 旅人のおかえりごはん』(スイッチ・パブリッシング)においても、古波蔵保好・登美両氏が大きく特集されている。(ライターはもちろん与那原氏)
写真などビジュアルも多く収められ、読み応え有り。こちらもぜひ一緒に楽しんでいただきたい。

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