今日も暑いと思いつつ、近寄る台風のことを考えています。
沖縄の離島に大きな影響が出ないことを願うばかりです。
日中は、三線の合同練習を間に挟みながら、諸々の場所へ移動、移動。
関係書類諸々を目の当たりにして、改めて「生きていくのはお金がかかるなあ」としみじみ。
しかし、それだけに価値を置いて生きるのも、違うよなあ、と。
ぼんやり考えた一日でした。
ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください
木曜日は<文芸・詩>
ご紹介する本はこちらです。
癌闘病、離職、離婚…生きる気力を失い、人生の最後を迎えるためブルックリンに戻った男・ネイサン。
唯一の日課は、人々が起こした小さな愚行(失敗)を書き留める『人間の愚行の書』作り。思い出してはメモを書く毎日。
ところが、甥っこ・トム、奇抜な古本屋・ハリー、トムの姪っこ・ルーシーらと出会ううち、いつの間にか想像もしない物語に巻き込まれていく。
序盤はネイサンやトムの鬱屈した生活が描かれ、進みも遅い。
しかし中盤以降、ハリーのとんでもない過去や悪だくみ、ルーシーの秘密がさらされ、一気に非現実的な場所へ読者ともども引っ張っていく。まるで映画を観ているようにスリリングだ。
彼らは語り合った夢の<ホテル・イグジステンス>へ辿り着くが、ある悲劇を迎え、その先新たな始まりへと進んでいく。
登場人物たちが描く群像劇は目まぐるしく、まるでジェットコースターのよう。読者は空想と現実を行き来する。
しかしそれは<私たち自身の人生>そのもののようでもある。
印象的なのは、最後にネイサンの出した結論、そして書かれた一文。
本の力をあなどってはならない。
これはオースター自身の声ではないだろうか。
読み終えた時、名もなき人々が放つ輝き、物語(フィクション)の潜在的な力を感じ、心地よい感動に包まれる。
一気に読み終えること間違いなしの快作。
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