2015年9月10日木曜日

話す楽しみ&本紹介(木:文芸・詩)谷川俊太郎詩集『私』

こんばんは、くじらブックスです。
大雨による災害のニュース、ずっとメディアで流れてきます。
自分の状況とあまりに違うので、正直信じられないような気持ちです。
お一人でも多くの方のご無事を祈ります。

私は今日、三線の練習(新しい曲ができずへこむ)後、いくつか挨拶やお願いに行きました。
家内作業が多いので、友人知人と会って話すのが楽しいです。
もっと外に出るように心がけます!(無職らしいセリフ)
そしてご協力いただいた試みがうまくいくよう、いろいろ準備頑張ります!

さて、今週から曜日ごとにテーマを決めて本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

木曜日は<文芸・詩>
ご紹介する本はこちらです。




谷川俊太郎といえば、教科書にも載っている現代日本を代表する詩人。
処女詩集『二十億光年の孤独』は、発売から60年以上経った今も広い世代の人々に愛されています。
また、長く詩を書き続ける谷川さんの作品は、その時期ごとの変化や味わいも感じられます。
この『私』は、2007年発行。
自身の老いを見つめるゆえか、全体的に言葉が静かに、寂しく響きます。
しかし、そこには自分以外の<あなた>へ向かう愛情や優しさも漂っています。

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私は自分が誰か知っています
いま私はここにいますが
すぐにいなくなるかもしれません
いなくなっても私は私ですが
ほんとは私は私でなくてもいいのです

私は少々草です
多分多少は魚かもしれず
名前はわかりませんが
鈍く輝く鉱石でもあります
そしてもちろん私はほとんどあなたです

忘れられたあとも消え去ることができないので
私は繰り返される旋律です
憚りながらあなたの心臓のビートに乗って
光年のかなたからやって来た
かすかな波動で粒子です

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(「私は私」より一部引用)

この詩を初めて読んだ時、特殊な言葉がないのに不思議と印象に残り、何度も読み返しました。
そして何度読んでも新鮮に感じられることに、驚きました。
<私>と<あなた>の関係をこんなにシンプルに、印象的に表現できるものなのか、と。
終わっていく命と続いていく世界の普遍性が、沁みるように広がっていきます。
詩が持つ言葉の力を感じられる1冊です。
どの書店・図書館にも谷川さんの詩集はあるはずです。
機会がありましたらぜひ、ご一読ください。

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