2015年10月13日火曜日

ブログ更新について&(勝手に)『夏目漱石まつり』開催!

こんにちは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
着々と秋の気配がしている沖縄、まだまだ昼間は日焼け注意の日差しです。
私は旅で黒く焼けてしまい、見た目が暦と逆行してしまいました。
いつになれば白くなるでしょうか…。

昨日「八重瀬町立具志頭歴史民俗資料館(港川人&謝花昇)」「世名城のガジュマル(沖縄一の巨木)」を見学、八重瀬を満喫して帰宅したら、いつの間にか眠ってしまい、ブログ更新できませんでした…。
そして改めて、イベント参加などを考慮し、今月後半のブログ更新についてお知らせいたします。

題して『夏目漱石まつり 読破への道』!!
漱石作品を読む『まつり』を(自分の中だけで)開催、ブログにて感想を公開させていただきます。
理由としては下記イベントへの参加がきっかけ。

-----------------------------------------------------

公開読書会
<漱石とわたし 一人の作家から多様な読み方を知る>

来年生誕150年を迎える作家・夏目漱石を題材に、県内の読者を交えた公開読書会『漱石とわたし』を書店OMAR BOOKSで開催いたします。
 登壇者それぞれが選んだ漱石作品を持ち寄って「わたしは漱石をこう読んだ」といった各自の視点から語り合って頂きます。
偉大な古典作品を皆で読む楽しみを共有する公開読書会を観覧してみま せんか?
まだ漱石作品を読んだことのない人も、読んで挫折した、とい う人も、これから読みたい!という人、読書会ってどんなものだろう? と興味のある方など、どうぞお気軽にご参加下さい!!


→ 申込みはOMAR BOOKSさんへ

----------------------------------------------------

今月31日(土)開催されます公開読書会に、くじらブックス・とけしもパネラーとして参加いたします。

しかし!学生時代読んだのも数作、記憶も曖昧…ちょっと読んだだけで語るには、さすがに漱石先生はもったいない。
ということで、改めて代表作を中心に、できる限り漱石作品を読了し、感想をブログにて公開、読書会に備えたいと思います。
(更新は数日毎のペースになる予定)
腰が重い私、自らハードルを上げていきます!
通常の本紹介はなくなりますが、しばらくこの試みにお付き合いいただけますと幸いです。
そしてもし興味をもっていただけましたら、31日の公開読書会にもご参加いただき、皆さまの漱石(イメージ、思い出なんでもOK)についてお話しできればと思います。

それでは。
次回「吾輩は猫である」より(勝手に)『夏目漱石まつり』よろしくお願いいたします!

くじらブックス・とけし

2015年10月12日月曜日

秋空を仰ぐ&本紹介(日:勝手に選書!)「コーヒーを楽しむ本・初心者編」

こんばんは!くじらブックスです。
連休中日、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は31日に行われる読書会(OMAR BOOKS「漱石とわたし」)のミーティングなど出かけておりました。移動の車中から見える空は薄青く、高く、すっかり秋の色。差し込む日差しはまだまだ暑いのに、気分も秋めいてきました。
先日京都の親戚から栗をいただいてもりもり食べたことですし、そろそろ衣替えをしようか(また暑くなると困りますが)読書もさらにはかどる…かな。
皆さまは秋、感じてますか?

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

日曜日は<勝手に選書!>
今日は「コーヒーを楽しむ本・初心者編」
朝の忙しい食卓、休日の穏やかな午後、あらゆる時にも気持ちを落ち着かせてくれる飲み物、コーヒー。
初心者の私でも、わかりやすい!親しみやすい!と感じたオススメ3冊(+おまけ1冊)をご紹介します。



①『コーヒーの絵本』 著:庄野雄治 絵:平澤まりこ

出版社: ミルブックス 価格(本体):1000円

シンプルな文章と丁寧なイラストで書かれたおしゃれな絵本。
小さいながら、コーヒーができるまでの流れ、豆の種類・焙煎・道具の説明、淹れ方の基礎知識までちゃんと収められている。
(実際我が家ではこの本を参考に淹れています)
何よりコーヒーを淹れる楽しみ、豊かさを伝えようとする雰囲気が紙面から溢れている。

----------------------------------------------
コーヒーは、絶対に必要なものではない。
だけど、おいしいコーヒーがあるだけで、
日々のくらしはずっとゆたかになる。
自分の好きなコーヒーが、家でいれられるようになる。
それだけで毎日は変わるんだ。
(p47より引用)
----------------------------------------------

まさに初心者に最適の1冊。



②『Pen 2014年 10/15号 [おいしいコーヒー] 』 
出版社: マガジンハウス 価格(本体):602円

前出の本と共通するコーヒー基礎知識に加え、「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒーショップ・スタンドの新しい流行について、詳しく取材されている。blue bottle coffeeなど、今話題のショップは何が新しいのか?これからのコーヒーはどうなる?と、消費者側にも勉強になるはず。
また、道具や淹れ方・焙煎の記事を読み、自宅でワンランク上の味に挑戦するのも面白い。
初心者から中級者まで使える1冊。



③『47都道府県の純喫茶 愛すべき110軒の記録と記憶』 著:山之内遼 
出版社: 実業之日本社 価格(本体):1500円

自分で淹れるよりプロの味を楽しみたい時、手に取るのがガイドブック。
最新のカフェ本もいいけれど、一見地味に見える地元の喫茶店、各々が持つ物語を楽しむのも良い。
この本は、全都道府県で長く愛され続けてきた「純喫茶」110軒を取材、収録している。
他のガイドと異なるのは、店主たちの言葉、思い出も少しずつ書かれているところ。カタログ的な情報だけでなく、そこにいる人々の姿、店の雰囲気まで感じられ、自分もその店に座っているような親しみが湧いてくる。
提供される商品だけでなく、人と心地よさを共有することで記憶に残り続けていく。そんな店が、名店なのだと教えてくれる。
自分も大切な場所を見つけたくなる、味わいある1冊。

おまけ


☆『Coffee Hunting Note 100カップログ』 著:川島良彰 
出版社: 世界文化社 価格(本体):1100円

飲んだコーヒーを記録できる新発想の「テイスティングノート」が面白い。日付・場所だけでなく、<香り><酸味><苦味>…などを円グラフにして可視化、より具体的に100軒分の味を記録できるようになっている。
コーヒーの生産地・銘柄の解説、おいしい淹れ方など基礎知識ページも豊富で、初心者にもやさしい。
初心者も上級者も使える手帖。カフェ巡りのお供にぜひ。

2015年10月11日日曜日

秋の訪れ(?)&本紹介(土:ノージャンル)南伸坊『仙人の壺』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
沖縄は急に気温が下がり、肌寒い一日でした。
家の建て替え(&くじら店舗建設)のため、家族で知人宅へ見学・相談に伺いましたが、雨風が吹き付けて寒い。
「20度以下は寒い」と言うと本土の人に笑われますが、夏の30度から10度以上下がれば、そう感じるのも当然では。
このまま秋から冬へと移っていくのでしょうか。季節が気になるこの頃です。

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

土曜日は<ノージャンル>
ご紹介する本はこちらです。



トイレで本を読むか、読まないか。
人それぞれに主義・主張・習慣があるかと思います。
我が家のトイレにはタンク上付近に棚があり、雑多な本が入れ代わり立ち代わり並んでいます。各々読みかけの本が多いですが、私は家族がどんな反応をするか見たいとき、こっそり並べてみたりします。
そこで飽きられることなくずっと並び続ける定番が本書です。

ガロの編集者から始まり、イラストレーター、漫画家、エッセイスト、装丁家などなど、あらゆる肩書きを持つ”おにぎり頭のおじさん”南伸坊。
著者が大好きな<中国古典怪奇譚>を元に描く、16の短編漫画と解説集。
独特のユーモアと時折艶っぽい絵柄に、とぼけたようで鋭いつっこみ解説があわさり、読んでいて楽しい。四足の蛇を倒して姿が見えなくなる(「蛇足」の由来)話や、異貌の乞食が吐いた淡が金になる話など、どれも印象に残るエピソードばかり。日本の怪談・昔話にも通じるようで、興味が尽きない。
そして何より、長さがトイレで読むのに丁度良い。
狭いトイレ空間から一瞬で異世界へワープさせてくれる、面白くて味のある1冊。
ぜひ気軽に手に取って楽しんでみてください。あなたもハマるかもしれませんよ。

2015年10月10日土曜日

おいしい体質(?)&本紹介(金:沖縄本)海野文彦『復帰前へようこそ おきなわ懐かし写真館』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は今日も家で作業などしていましたが、ちょっと困ったことが。
やたらと蚊に刺されてしまうのです。特に足。
かゆみが引いたと思ったら刺され、引いたと思ったら刺され…。
今までそんなに刺されやすい気もしていなかったのですが、体質が変化したのでしょうか。そんなことがあるのでしょうか。
困ったなあとつぶやきながら、過ごす日々です。

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

金曜日は<沖縄本>
ご紹介する本はこちらです。



1972年5月15日。
沖縄の統治権がアメリカから日本へと移り「復帰」した日。
リアルタイムで体験した父母・祖父母世代の沖縄県民にとって、忘れることのできない転換点だったという。
この日を境にさまざまなことが変わり、街や風景も変わっていった。

しかし<復帰後>世代の自分にとって、<復帰前>は昔話で聞くだけの、どこか遠い世界のように感じていた。
本土とほぼ変わらない文化を享受する現代、アメリカ統治下を想像するのは難しい。
(基地近辺の土地ではおそらく名残があるだろうけれど)
この本は、復帰前の写真をたくさん集め<こども・暮らし・交通>と分類し収録している。
当時のこどもたち・人々の生活風景、懐かしい食べものやお菓子・乗り物など、知らなかった景色をビジュアルで見ることができる。
父や母は「ミッキージュース」「ワシミルク」「水上店舗」「1号線」…どの写真を見ても懐かしく、当時のことがあれこれと思い出されるようだ。
その話を聞きながら一緒に写真を見ると、知らなかった世界が現在とつながっている、「<復帰前>と今が地続きである」と、やっと感じられてくるのだ。
一見何気ないような風景写真が、保存され、後年参照されることで、過去を継承していく。
さまざまなものを失っても、人々の記憶や体験は、共有することで受け継がれてゆく。

----------------------------------------------------
復帰前を知る世代には、写真を見てそれぞれの「あの日の沖縄」を思い起こしていただいたり、若い世代には、自分たちの父母、祖父母が通ってきた日々を話題にしてもらえればと思います。あわせて、これらの写真を通して、当時の沖縄を照らしていた日の光や、吹いていた時代の風のようなものを感じてもらえるなら、うれしいかぎりです。

(p4 はじめに より引用)
----------------------------------------------------

著者の言葉通り、世代の懸け橋となる1冊。ぜひ家族で読み語り合うことをオススメしたい。きっと話に花が咲くことだろう。

2015年10月9日金曜日

日々再開&本紹介(木:文芸・詩) 佐藤 伸治(フィッシュマンズ)詩集『ロングシーズン 〔新装版〕』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
北海道は台風の影響が大きいようで、心配です。
これ以上の被害がでないよう、願っております。

私は一昨日旅から戻り、各種手続きの後は、ひたすら本の整理と登録をしています。
溜まっている本をWEBストアにアップしていますので、ご覧いただければ幸いです!ご注文も承ります。
また、来週はイベントもお手伝いさせていただく予定。
詳細が決まりましたら告知いたしますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
これから日々コツコツ、でも確実に進んでいけるようちばりますー!

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

木曜日は<文芸・詩>
ご紹介する本はこちらです。




佐藤伸治は、90年代に活躍したバンド<フィッシュマンズ>のボーカリスト。
一度聴いたら忘れられない高い声、どこか現実離れした歌詞、ダブやレゲエを取り入れた優れたポップミュージック。
フィッシュマンズの音楽性は日本で類がなく、99年に佐藤が亡くなって以降も、バンドのファンは増え続けているという。
私も中学生の時に出会ってから、高校・大学・社会人と現在に至るまで聴き続けてきたが、決して飽きることがない。
(真夜中の世田谷を、フィッシュマンズを聴きながらさまよったことさえある)
聴けば聴くほど、自分の気持ちが過去へ遡ってゆくような不思議な心地よさ。なぜか10代の時からそんな気持ちになった。
人の中にある根本的な<回帰>感覚を引き出すのかもしれない。
そこには彼らの音楽が持つグルーヴ感・ループ感と、佐藤独特の歌詞世界が核になっていると思う。
この詩集を読むと、シンプルなだけに、よりイメージは鮮明になる。

「MELODY」という歌詞(歌詞サイト参照。引用は控える)で<一人音楽を聴いている薄暗い部屋に窓から光が差し込む>という情景描写がある。
その時<一瞬にして昔の記憶が蘇っては消え、幸せと喜びと悲しみが入り混じる>。
音楽に対する強い愛情と、一瞬で消えてつかめないという悲しみが、自分の幼い時と重なり、泣きそうになる。
(私が本や音楽、創作物に求める揺さぶられるようなイメージの原点は、まさにこれだったりする)
誰の心にもある懐かしい<記憶>を呼び起こす力を、佐藤のことばとフィッシュマンズの音楽は宿している。

全ての人が好まなくとも、一生胸に抱き思い出し続ける人がきっといる。そんな時代を越える1冊だと思う。
機会があれば、彼らの音楽と共に手にしてみてほしい。

2015年10月7日水曜日

本を求めて旅日記<九州編> 8-9日目 佐賀②ダイジェスト版

おはようございます!くじらブックスです。
暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は昨日沖縄に帰ってきました。
佐賀のホテルにwifiが入らず更新ができなかったため、旅日記が尻切れにとんぼになってしまいました。
最後は普通に観光しただけだったのですが、ダイジェスト版として写真をあげさせていただきます。
よろしければ旅気分でご覧ください!

----------------------------------------

10月5日(月)&6日(火)

伊万里駅から「秘窯の里・大川内山」へ行きました。
伊万里焼の中でも「鍋島」(主に献上品・贈答品)をつくらせるため、藩が住まわせた土地だそう。
現在も集落に窯元が集まり、生活されています。





















当時集められた陶工の中には無縁の者も多く、集落入口には無縁仏の墓が祀られていました。


大分で収穫時期の田んぼに感激しましたが、佐賀も負けずに稲穂が輝いてましたよ。
ホテルのお米も美味しかった。


話題の「武雄市立図書館」にも行ってきました。思うことはいろいろ。
一言で言うと「図書館は誰のための施設か。至急、考え直し行動しなければいけない」
他人事ではなく、自分にも関係あることとしてとらえなければと思います。

その後、すぐ近くにある武雄神社で「武雄の大楠」を見学。
推定樹齢三千年(!)、日本の巨木ランキングで7位になるほどの大きさとのこと。


人っ子一人いない神社、奥に広がる暗い竹林を通り抜け


遭遇したのは、言葉にできないほど圧倒的な存在でした。
魂が抜けるほど恐ろしく、美しかったです。
うわーっとなりましたが、帰り道引いたおみくじは良い結果でなんだかほっとしました。

翌日、有田の「九州陶磁文化館」へ。
展示入れ替え中のため2室しか見学できませんでしたが、それだけでもたくさんの名品を目にして、無知ながら感動。
良いものは知識がなくても心を動かすのだと実感しました。
展示内容も丁寧で、初心者にもわかりやすい、すばらしい博物館です。
写真撮影可だったので、たくさん撮ってしまった。すごかった。
またぜひ行きたいなあ…。
そしてもっと焼き物について知りたいと思いました。
















そして福岡空港へ行く帰りがけ、天神の「ジュンク堂書店福岡店
天狼院書店福岡店(福岡天狼院)」「ブックスキューブリックけやき通り店」に寄りました。
ここでもいろいろ思うことあり。また機会があれば追々書きます。

さらにいろんなことを知りたい、挑戦してみたい!と思える良い旅でした。楽しかったです。
お世話になった皆さま、本当にありがとうございました。
明日の分からは通常通りの本紹介更新になります。
今後ともよろしくお願いいたします!

2015年10月5日月曜日

本を求めて旅日記<九州編> 6-7日目 大分②&佐賀

おはようございます!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
大分1日目、若干考えすぎ?なブログを書いてしまい、ちょっと反省しております。
後で恥ずかしくなりました…。
あれだけ考えた翌日、なにをしていたかと言うと、ぶらぶら~っと遊びまわっておりました!

…とここまで書いて更新がさらに遅れてしまったので(書くのが追いつかない!)、遊んでいた大分2日目はさらっと終えまして、考えた色々は翌日・佐賀の日記とまとめようと思います!
ので、長いですが…2日分どうぞご覧ください~

----------------------------------------

10月3日(土)

昨日にも増して晴れた大分・別府。
早起きしてどこへ出かけたかというと。



遊園地でも動物園でもありません。
<地獄>。地獄です。
しかし、死後悪いことをして行くあの場所ではなく、<大分県別府市に多数存在する様々な奇観を呈する自然湧出の源泉>をそう呼んでいるそうです(出典:wikipedia)。
その<地獄>8カ所を回るバスツアーに参加してみました。


いわゆる源泉を巡るため温泉には入らず(足湯くらい)、ぐつぐつ湧く色んな色の湯を見物したり、さまざまな動物たちを見学したり(なぜかアマゾン産多し)する、温泉地の楽しみですね。
明治・大正時代、実業家の油屋熊八が別府の観光に尽力した際つくったとのこと。
朝のテレビ番組で”農業品のブランディング(参照:wikipedia)”について特集していたのを思い出し、これも観光地のブランディングだよなあと感心しました。中国人観光客も多く(大型フェリーがよく寄港するらしい)、まわりやすい観光地・しくみが既にあるというのは、地域にとっては大きなプラスだろうなあと。
温泉と一緒に物珍しいものを見る、昔ながらの味が残る施設。その伝統を面白がって拝見しました。

大分は国東半島や竹田市など見るべきところが多く、とてもまわりきれなかったので、ぜひ再度訪れたい場所です。去年から始まったブックイベント<ぶんぶくまつり>なども、盛り上がりが楽しみです。

その後、福岡へ移動。別府(福岡)・六本松の「古書店・徘徊堂」さん、「金修堂書店」さんを見学しました。
本屋に関して考えたことは佐賀編にて。

----------------------------------------

10月4日(日)

朝一で福岡から佐賀へ移動、今回の旅メインイベント<BOOKマルシェ佐賀2015・一箱古本市>に参加しました。

その準備前、マルシェ参加店でもある「子どもの本屋 ピピン」さんへ。自己紹介し、少しお話を伺いました。
こちらは12年前、20数年続いた書店が廃業すると知り、地元有志がNPOを立ち上げ、運営を始められたそうです。仕入れが難しいタイトルもある、売上も厳しい、とおっしゃっていましたが、司書の方が多く協力する読み聞かせイベントなど積極的に開催されています。地元の子どもたちに良質な本を届けたい、という強い思いが店頭からも伝わってきました。

10時半に受付を終え、ぱたぱたと古本市の準備を始めていると、ぞくぞくとお客様が集まってきます。


写真以外の広場や通りも、親子連れ・ご年配の方々など本当にたくさん!個別の関連イベントや飲食店にも集まっている様子。
イベント自体が今年7年目だそうで、一般にも大分認知されているのが感じられました。


↑ くじらブックス店頭 ↑

事前に荷物を発送、本当に一箱分だけの在庫だったので、見える本全てにPOPを付けるなどちょこちょこ工夫。
ボーダーインクさん提供のバーゲンブックやその他沖縄本も産地直送をアピール!
すると、結構興味を持って見てくださったり話しかけてくださったり。ちょこちょこ購入もしていただけました(沖縄出身の女性、辺野古へもいらしたことがある市議の方など)。
特にご年配の女性が「こんな本なかなか見る機会がないから面白いね」と買ってくださり、来た甲斐があったとしみじみ嬉しかったです。
そして、真ん中に置いている『桜島!まるごと絵本』。実は旅の1日目、鹿児島の新刊書店で購入した鹿児島の県産本です。まだ熟読していませんでしたが、かわいらしく良い本なので「佐賀の子どもたちも興味を持ってくれそう」と安く出していました。実際たくさんの子が見てくれて、よかったなあと片づけしていると「あの桜島の本残ってますか!?」と、一人の女の子が戻って買っていってくれました。
数は少なくとも、他県について興味を持ち知りたいと思っている人がいるという事実を、改めて実感した1日でした。

ホテルに帰る途中立ち寄った佐賀駅の「積文館書店佐賀駅店」郷土本コーナーで『佐賀文学』という文芸同人誌を発見、購入。新聞の紹介記事も掲示されていて<佐賀オスプレイ配備について反対する老人の小説>掲載と読み、ハッとしました。佐賀の方が沖縄に関心を寄せてくれる一因には、基地問題の共感もあったのかもしれない、と。不勉強な私はいまさら思い至ったのです。

今回、九州旅で実感したのは<それぞれの土地に暮らす人々がそれぞれに地元を愛し、地元で一生懸命働き、また他県にも興味をもっている>という至極当たり前のこと。しかし、普段は改まって考えないことでした。九州各県が持つ資源の大きさと可能性は、これからもっと重要になってくるでしょう。またきっと訪れたいと本当に思っています。
そして沖縄も土地が持つ潜在的な人、資源を活かせたら良いなあと思いました。

別途本屋関係について。
BOOKマルシェにトークイベントで参加されていた、L福岡のK(仮名)さんにお会いし、去年ブックオカ以来のお話。やさしく気遣ってくださるKさんにご紹介いただいて、「ブックスキューブリック」大井さんにもご挨拶。全国の書店が参考にし、目標としている街の本屋の一つです。
自分も店をしたいと思っている旨お話すると、現在大手取次関係者と新規起業店が参加しやすいよう、話し合いをされているとのこと。もうすぐ今までよりずっと始めやすくなるよ、とおっしゃってらしてビックリしながらも納得。業界が旧態依然でいても仕方ないのはみんな分かっていて、大手取次でも改革意識をもっている方がいるというのは、本当に希望があるなあと。
自分も体制を整え、いろんな方法をどう活用できるか考えておこうと心に留めました。

自分が本屋をやるために、何が大切なのか。
いろんな方にお話を聞いて散々考えて辿りついたのは「店という形に囚われすぎないようにしよう」ということでした。
心のどこかで<魅力的な店づくり>というものにこだわりすぎて、「どう作れば店が成り立つか」ばかり考えていました。
けれど、重要なのは結局「自分が届けたいと思う人にどう本を届けるか」という仕組みづくりであり、それをできるだけ長く継続していくための方法、なんだよなと思い至りました。
店頭とかネットとか外商とか配達とか、形はどうでも手間がかかるとしても、「届ける」という目的を達成することが大切だ、と。
だからまず自分の中で「届けたい人」「届けたい本」をより具体化し、最適な方法を探る。
それを始めようと思いました。

そういうことを考えて決めてから独立するのが当たり前のような気もしますが、走り出してから考えるタイプの自分は、やっとスタートラインに立ちました。
これからもぐだぐだ迷いつつ、考え方の芯・核を持ちつつ、楽しく頑張っていきます。
皆さま、どうぞこれからもよろしく願いします。

----------------------------------------

ということで、長々~と書いてきました本の旅日記、一通り目的が終了しました。
次回は有田・武雄温泉をめぐる普通の素人観光日記になると思いますが、もしよろしければお付き合いください。

2015年10月3日土曜日

本を求めて旅日記<九州編> 5日目 大分①-2

大分1日目、後半です~
今回はまた本屋話で、写真が少ない上、考え込んでめんどくさい感じです。すみません!

----------------------------------------

10月2日(金)

臼杵からまたJRに乗り、次は佐伯へ向かう。
先日発売されたムック『本屋へ行こう!』や『本屋図鑑』等で紹介された老舗「根木青紅堂」さんへ行くため。
駅からお店まで、ごまうどんを食べたり(店主のおばちゃんが沖縄・三線好きで和む)全国チェーンの明屋書店を覗いたりしながら通りを歩き続け、到着。
近年改装されたというお店は、棚など木を基調にされていて落ち着いた雰囲気。入ってすぐレジ横に、店独自のロングセラーコーナーや話題書・新刊、ビジネス書、文芸書・詩と続き、全国的な売れ筋を置きがちな店とはやはり一線を画している。料理や育児・児童書も、厳選して置いてあることがわかる。前出のムックでも書かれていた岩波文庫や新書・ちくま学芸文庫・講談社学術文庫はしっかり在庫。奥の低いテーブルで行われていた小規模のオススメコーナーも、丁寧なPOPがつけられている。全体的に丁寧に手間をかけてらして、紹介したくなる、こんな本屋が近所に欲しいと思う気持ち、わかるなあと感じた。

会計時、旅行に来ていて、自分も書店をしようと思っているとお話しすると「ええっ?今から?大変ですよ…」「うちも家族でやってなんとかやっていけてる」「あらまあ頑張ってくださいね…」と苦労されたが故のお言葉をいただく。実質的に教科書や定期購読(配達)が多く、とても店売りじゃあやっていけないですよ、と。阿蘇の「竹とんぼ」さんも9割は外商(契約した取引先から注文を受け届ける)だとおっしゃっていた。
そう、よほど人通りの良い立地でしっかり売れるジャンルでもなければ、小さい書店の経営は成り立たない。普通にやっていても仕方ない。これは書店に限らず、個人商売どこもきっとそうだろう。
だからどのお店も、どうやって知ってもらうか、他の販売方法・取引方法がないか、考え、挑戦する。注文してもらえる関係づくりに奔走し、年月を積み重ねることでやっと信頼を築いていく。そして何より、商品知識を伸ばす努力をする。
生半可に自分が好きな本を売れたらいいなあなんて言っていたら、食べていくための仕事にできるはずがない。
当たり前だけれど大切な厳しさに気づかされ、それを実践し続けてきた「根木青紅堂」さん「竹とんぼ」さん、全国の諸先輩方に改めて尊敬の念を抱きつつ「じゃあ自分はどうするんだ」とぐるぐる考えメモを書き散らしながら大分へと戻りました。

大分市内に戻ってから、「明林堂書店大分本店」のMさんへ挨拶に行く。大分でのブックイベント、書店員フリーペーパー<晴耕雨読>などに携わっていらっしゃるベテランだ。
昨年のブックイベント(ブックオカなど)でお会いして以来、FBで情報を共有するくらいだったけれど、直接「頑張って!」と言っていただけて、気持ちがへこたれていただけにとても嬉しかった。行けなかった国東半島の本を買い、再会を願いつつ失礼する。



そのまま、大分駅近くの「カモシカ書店」さんへ。
こちらも去年の開店以来、こだわりのスタイルが話題になり各所で取り上げられている。1階の百円均一コーナーを抜けて階段を上り、鉄のドアを開けると、静かな落ち着いた空間が広がっていた。古本と直接取引のタイトルがメイン。古本は比較的スタンダードな品揃えで、価格も手ごろ。点数も多めだけれど、棚が大きいので余裕がある置き方がされていて、その空間の余白がまた別の本を連想させる。きっとこれからもっといろんな本が増えていくことを予感させる、良い余白だなあと感じた。
直接取引をしている本に独自のカラーがあって、他では見ない際立って個性的な本が多かった。こだわりのトートバッグやブックカバーなど、雑貨もあり、飲食も充実。今まで本を読まなかったという人にもアピールできる、面白い本屋になりそうなお店。次訪れた時にどんな雰囲気になっているか見てみたいなあと思った。

色んな事を試みれば、賛否両論になるかもしれない、もしかしたら失敗するかもしれない。それでも、本気でやれば応援してくれる人もいるし、続けることで見えてくることもあるはず。
だから一生懸命努力する人を心から尊敬するし、自分も自分なりのやり方を考えてやっていきたいなあ(できる限り楽しく)と、心から思った一日でした。

そんなこんなでうろうろしながら別府へ移動し、ホテルの温泉で疲れを癒して眠り、翌日別府地獄めぐりで愉快に元気になりました。
ということで続きはまた次回。





本を求めて旅日記<九州編> 5日目 大分①-1

おはようございます!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
関東から北は大分荒れた天気だったようですが、九州は晴天・真夏が戻ったような日差しです。
歩いているだけで体力がなくなりそう…でも、おかげで良い景色を発見できましたよ。
一日遅れですが昨日の日記です。
よろしければご覧ください。

----------------------------------------

10月2日(金)

朝から気持ちのいい晴天。
大分一日目はまず臼杵市の「臼杵石仏」を見学。
平安時代後期~鎌倉時代にかけて彫られたとされる60体余りの磨崖仏群、国宝にも指定されています。(詳細はこちら

※ちなみに<磨崖仏>とは…(参照:Wikipedia
 そそり立つ岩壁や岩壁を龕状に彫った内側に刻まれるなど、自然の岩壁や露岩、あるいは転石に造立された仏像を指す。

前知識は全くなし。でも「古いものが残るにはそれだけの理由がある」と思い、出かけることに。
JR日豊本線で臼杵駅へ向かい、さらにバスで15分。臼杵市街を出ると、続くのはのんびりした山々と田園風景。
自分の中で勝手にイメージしていた<古き良き農村>そのもので、沖縄から来た身にはとても新鮮に映りました。


そして見学した「臼杵石仏」群は種類も様々で、特に国宝指定された仏像はいずれも、無知な私でさえ心動かされる造形美・存在感でした。
造営について一切の史科も残っていない、いまだ不明なことが多い場所だそう。それでも、岩を掘り、仏像をつくり祀った人々の深い信仰心は、時代も言葉も越えて伝わってきます。


石仏見学後、バスから見えた景色を辿るため(+バスの本数が少ないことに後で気づいた)駅への道を歩きます。
夏のような日差しの中、小学生くらいとしかすれ違わない道路をぼちぼち歩いていると、目の前に急に美しい景色が。


一面の稲穂の海、刈り入れ前の水田です。
写真や絵でしか見たことがない光景に「これがお米になるんだなあ」と、当たり前のことを改めて実感。
金銭感覚とは別の《豊かさ》とはこういうものかも、と道で一人立ち尽くしていました。


同じ田んぼでは<かかしまつり>も開催中、たくさんのおもしろカカシが立ってるだけですが。本物の人が通ると、どっちがカカシか人かわからないですね。(真ん中を通る姿、わかります?)

さらに人気のない道を歩いていくと、ふとこんな場所を発見。


中には男性が一人座ってPCを眺めています。ちょっと迷いつつ、「図書館ですか…?」と入ってみると、アイスコーヒーまで出してもてなしてくださいました。


こちらは、地元の工務店<樹の家こころ舎>さんが昨年オープンした家づくりや暮らしに関するイベント・交流スペースだそう。
お客様との相談だけでなく、ワークショップや読書スペース、通りすがりのお茶所として、解放しているそうです。
インテリア関係の雑誌や、生活・ライフスタイル関係の雑誌もさまざまに揃っていて(元々の蔵書を活用)アットホームな雰囲気。ご年配の方もよく立ち寄るらしく「そこから本業の仕事をいただくこともあるんですよ」とのこと。
最近、街中に本棚をつくる<マイクロ・ライブラリー>が盛りあがってきているとは知っていましたが、大分でもこんな風に試みる会社があるんだなあと、感動しました。長く愛される場所になっていただきたいですね。

さて、まだまだ長くなりそうなので、前半はここで。
後半は書店巡りです。
長くなりすぎて終わらない…すみません~

2015年10月2日金曜日

本を求めて旅日記<九州編> 4日目 熊本②

こんばんは!くじらブックスです。
今日は全国的に大荒れの天気でした。皆さまの地域はいかがでしたでしょうか。
まだまだ明日以降も影響が出るようです。お気をつけてお過ごしください。
訪れた阿蘇も今日は結構な天候でした…。
本日の日記、どうぞご覧ください!

----------------------------------------

10月1日(木)

朝起きると曇り空。ちらちら雨も降る中、バスに乗って阿蘇へ。
某出版社・Dさんに教えていただいた南阿蘇・西原村にある「子どもの本の店 竹とんぼ」さんへ行くためです。
小宮さんご夫婦が1981年熊本市内で開業、後に阿蘇へ移転し、現在まで33年間も続けてこられた熊本・九州屈指の老舗です。
ぜひ行ってみた方がいいというアドバイスを受け、それではと萌の里でバスを下り、15分ほど歩いて向かいます。
(こんなとき、山間部は車がないと厳しいなあとつくづく実感)


阿蘇は周囲がほぼ360度尾根に囲まれています。
山に包まれているような感覚。
雲間から降る光が地面を照らして、新鮮な緑色です。



道々には牛も豚もたくさん。かわいいです。田舎育ちの私には、飼料の匂いもどこか懐かしい気持ちにさせられます。
さて、やっと村の中にある「竹とんぼ」さんへ到着。木々植物がのびのび育つ庭を通り、店内へ。コンパクトなお店に、定番の絵本・児童書はもちろん、今まで見たことがないタイトルもオススメされていて、しばらくじっくり拝見。一方には子どもが読んでもいいように、閲覧見本と椅子も用意され、心地よい雰囲気です。
お会計の際、自分の素性をお話ししたところ、店主の小宮楠緒さんが奥から出ていらして、たくさんお話してくださいました。現在の「竹とんぼ」経営状況から、仕入れの話、お店を始られた時の事、ご夫婦のケンカからイベントの失敗談まで…。試行錯誤しながら、自分たちなりの工夫と努力で今日まで続けてこられたその姿勢に心底感服。
「本を読まなきゃダメ」「本屋は適当にやってもすぐつぶれちゃう」
「本屋は本当に大変、やるもんじゃない」
ビシビシとおっしゃる言葉は厳しいように聞こえるけれど、根っこには本と本屋への深い愛情が感じられます。こんな先輩がいらっしゃると思うだけで、勝手に嬉しく心強くなれるとても魅力的な方でした。本屋は人なんだ、とつくづく実感。
私も自分なりに、できるかぎり長く続けていける形を作りたい、そして魅力ある本屋になりたい、と今一度心に留めました。
現在は長男ご夫婦が引き継がれ隠居状態とおっしゃっていましたが、「こっそり始めた」というブログも精力的に更新なさっています。(→阿蘇の麓の本屋の本音 お父上・北御門二郎さん(翻訳家・評論家)、ご親交があった石井桃子先生(児童翻訳家)との思い出など、興味深いことが沢山です。こっそりではもったいないと思いますので、ぜひご一読いただきたいです)
今後もぜひご活躍をと願いつつ、ご一緒にいらしたお嫁さんにもお礼を言って、またとことことバス停へ戻りました。

その後。噴火の影響で山頂へは行けないと知っていましたが、せっかく阿蘇に来たからと草千里までバスに乗ったのですが…。




真っ白で何にも見えませんでした。残念。
とりあえずさびれた雰囲気の<阿蘇火山博物館>で、火山について学び、隕石やら岩石やらに親しみました。少しは知識がついたような気がします。
同じように閉じ込められた中国人旅行者の方々、展示物の日本語が読めない様でかわいそうだった…。

そしてさらにさらにバスに乗り、山を越え、大分県へとたどり着きました。
さて、次はどんな本、本屋、人に出会えるでしょうか。
明日ご報告いたします。

2015年10月1日木曜日

本を求めて旅日記<九州編> 3日目 熊本

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
滞在中の熊本は一日雨でした。土砂降りじゃなかったのが幸いです。
明日は全国的に天気が崩れるとのこと。
様子を見つつ、臨機応変に行ってみます…。
それでは本日の日記をお届けします。もっと簡潔にしたいのですが…長くなってしまいました。
そして移動や観光をしない分、より<本屋>話が多くなっています。
よろしければご覧ください~

----------------------------------------

9月30日(水)

今日は熊本で一日過ごすので、ゆっくりスタート。
歩きながらまずは『Book&Cafe一心堂』さんへ。
ほど近い場所にあった老舗が移転、カフェ併設となったそうです。路面店で窓からの見晴らしも良く、落ち着いて本・飲み物が楽しめます。(昨日のブログもこちらで書かせていただきました)
在店中も「こちらは交通センターにあった…」というお客様が何人もいらして、老舗として愛されたお店なんだと感じました。街の一部になることの大切さを思います。これからも長く続けていただきたいと勝手ながら願わずにいられません。


そして市電沿いに先を進むと、老舗文具店の軒先にこんな像が。
…たぬき?
すぐ近くに<肥後手まり歌・あんたがたどこさ>の舞台となる船場橋があるから、だそうですが。(参照URL
なんだか無視できません。
他にもたくさんたぬき像はありましたが、ダントツで目立つ人間ぽいたぬきでした。

閑話休題。

次に見えてきたのが『長崎次郎書店』さん。












創業140年を越える老舗であり、『国登録有形文化財』に指定された建物は、一目で圧倒される存在感です。
平成25年一旦閉店されましたが、経営分離した長崎書店(上通店)が引き継ぐ形で平成26年7月31日、リニューアルオープンされました。現在は2階に喫茶(定休日で入れず残念)もオープン、充実度がより増しているようです。
店舗入口には定番の幼年・コミック誌が並んでいますが、中に入ると女性向けの暮らし・ライフスタイル、リトルプレスなどが目立つところに配置。子ども用に木のおもちゃ、雑貨類やお菓子もあり、東京・福岡の書店にも負けないという感じのおしゃれさ。
それだけでなく、壁際の人文・思想・社会コーナーも面白そうな新刊が揃い、漱石ら地元の文豪コーナーもしっかり展開。
広いお店ではないと思いますが、雑誌・コミックなども置きつつ、提案型の書店として新しさを意識されているのがひしひしと伝わってきました。
これから年月を重ねることで、建物の重厚さと内側の新しさがさらに融合し、街の人々に愛されていくだろうなあと思います。楽しみです。

そして今度は市電に乗って、熊本城方面へ。
美味しいカレーを食べてから「橙書店」さん。
「長崎次郎書店」と共に雑誌の<本屋特集>などよく取り上げられる個性派書店。こちらは日本・海外の文学を中心に、よりセレクトされたタイトルが多く並びます。
実は自分が大好きなスティーブン・ミルハウザーの新刊『ある夢想者の肖像』(白水社)が平積みになっていて「発売してたんだ!」と嬉しくて買ってしまいました。地元でも買えるのに…。
(後悔はしませんが、旅の荷物が雪だるま式に増えて困ります)
お話も少しさせていただいて、自分なりのやり方を通していく、洗練された意志が感じられるお店だなあと感じました。前出『ある夢想者~』訳者あとがきで、柴田元幸先生がこの作品を評して「すべての読者をまんべんなく喜ばせることはなくても、一定数の読者を強烈に魅了する」と書かれており、まさにこちらのお店もそうじゃないかと勝手に思ったり。
誰もができることじゃないけれど、確実に誰かの生活や人生を変える1冊を売れる本屋さん。すごいですね。
元々経営されていた隣接する雑貨・カフェOrangeのアイスコーヒーが、また理想的に美味しい。帰宅したら再現できるか淹れてみたいです。雑貨もこだわりの品が多く、人を惹きつける魅力にあふれた印象的なお店でした。

その後、また移動して「くまもと森都心プラザ図書館」でなぜか『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』(本の雑誌社)を読んだりと、なんだか本屋のことばかり考えていた一日でした。
自分はどうしたいだろう、と改めて考えます。
でも、結局一日中考えても飽きないくらい好きだから、本屋をやりたいんだよなあ、というのはわかっているので、また明日、次の本と本屋を訪ねつつ考え続けてみます。