2015年9月16日水曜日

大学を楽しむ&本紹介(水:エッセイ・ノンフィクション)『被差別の食卓』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今日はまたR大学の公開講座に行ってきました。小泉武夫先生の「発酵学」。
メコン川流域に広がる発酵食品文化の数々を、ノンストップで語り続ける先生。
その情熱と元気に学生・聴講生の方が圧倒されてしまいます。本当に興味が尽きません。
それでも、居眠りして注意される子や、キャンパスをのんびり歩いている子たちを見ると、自分の学生時代を思い出します。
懐かしいなあ。
90分3コマ連続は結構ハードですが、社会人には楽しい授業です。

そして今週は総合テーマ<食>で本をご紹介します。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

水曜日は<エッセイ・ノンフィクション>
ご紹介する本はこちらです。



大阪の被差別部落出身である著者が、世界中の<被差別民>を訪ね、<食>について聴き込み綴った1冊。
アメリカ南部の黒人、ブラジル奴隷、ブルガリア・イラクのロマ(漂泊民)、ネパールの不可触民。それぞれのソウルフードを共に食し、語り合い、自身のルーツと重ねながら記録する。
最後に行きついたのは、旅の出発点でもあった著者の母が作った<あぶらかす>。
ソウルフードとは、それぞれの家庭の味、母の味だった。
生活から生まれてきた<食文化>を、卑下することなく残しておきたいと願う、著者の想いを感じた。
読書中、各国料理の中にいくつも沖縄料理との共通点を見つけた。
母と話し、「これ同じだね」というものもあった。
世界と沖縄のつながりのように感じられ、興味深かった。

<被差別>と名付けることが、余計に差別を助長する、現代では消えた差別を掘り起こすように感じる人もいるかもしれない。とてもデリケートな問題だと思う。
今、私個人は生きている中で差別を感じていない。
しかし、かつて沖縄にも確かに差別は存在していた。今も気付かないだけ、口にしないだけで、あらゆる場所に差別は存在している。私自身が無自覚なだけで。
かつてあったものを知らず、なかったことにしてはいけないし、今盲目になってもいけない。
そんな当たり前のことを改めて考えさせてくれる本だった。

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