2015年10月9日金曜日

日々再開&本紹介(木:文芸・詩) 佐藤 伸治(フィッシュマンズ)詩集『ロングシーズン 〔新装版〕』

こんばんは!くじらブックスです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
北海道は台風の影響が大きいようで、心配です。
これ以上の被害がでないよう、願っております。

私は一昨日旅から戻り、各種手続きの後は、ひたすら本の整理と登録をしています。
溜まっている本をWEBストアにアップしていますので、ご覧いただければ幸いです!ご注文も承ります。
また、来週はイベントもお手伝いさせていただく予定。
詳細が決まりましたら告知いたしますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
これから日々コツコツ、でも確実に進んでいけるようちばりますー!

ブログでは毎日、曜日ごとにテーマを決め本をご紹介しています。
※気になった方は、お近くの書店・図書館、または
※kujirabooks.okinawa@gmail.com までご連絡ください

木曜日は<文芸・詩>
ご紹介する本はこちらです。




佐藤伸治は、90年代に活躍したバンド<フィッシュマンズ>のボーカリスト。
一度聴いたら忘れられない高い声、どこか現実離れした歌詞、ダブやレゲエを取り入れた優れたポップミュージック。
フィッシュマンズの音楽性は日本で類がなく、99年に佐藤が亡くなって以降も、バンドのファンは増え続けているという。
私も中学生の時に出会ってから、高校・大学・社会人と現在に至るまで聴き続けてきたが、決して飽きることがない。
(真夜中の世田谷を、フィッシュマンズを聴きながらさまよったことさえある)
聴けば聴くほど、自分の気持ちが過去へ遡ってゆくような不思議な心地よさ。なぜか10代の時からそんな気持ちになった。
人の中にある根本的な<回帰>感覚を引き出すのかもしれない。
そこには彼らの音楽が持つグルーヴ感・ループ感と、佐藤独特の歌詞世界が核になっていると思う。
この詩集を読むと、シンプルなだけに、よりイメージは鮮明になる。

「MELODY」という歌詞(歌詞サイト参照。引用は控える)で<一人音楽を聴いている薄暗い部屋に窓から光が差し込む>という情景描写がある。
その時<一瞬にして昔の記憶が蘇っては消え、幸せと喜びと悲しみが入り混じる>。
音楽に対する強い愛情と、一瞬で消えてつかめないという悲しみが、自分の幼い時と重なり、泣きそうになる。
(私が本や音楽、創作物に求める揺さぶられるようなイメージの原点は、まさにこれだったりする)
誰の心にもある懐かしい<記憶>を呼び起こす力を、佐藤のことばとフィッシュマンズの音楽は宿している。

全ての人が好まなくとも、一生胸に抱き思い出し続ける人がきっといる。そんな時代を越える1冊だと思う。
機会があれば、彼らの音楽と共に手にしてみてほしい。

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