2015年10月3日土曜日

本を求めて旅日記<九州編> 5日目 大分①-2

大分1日目、後半です~
今回はまた本屋話で、写真が少ない上、考え込んでめんどくさい感じです。すみません!

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10月2日(金)

臼杵からまたJRに乗り、次は佐伯へ向かう。
先日発売されたムック『本屋へ行こう!』や『本屋図鑑』等で紹介された老舗「根木青紅堂」さんへ行くため。
駅からお店まで、ごまうどんを食べたり(店主のおばちゃんが沖縄・三線好きで和む)全国チェーンの明屋書店を覗いたりしながら通りを歩き続け、到着。
近年改装されたというお店は、棚など木を基調にされていて落ち着いた雰囲気。入ってすぐレジ横に、店独自のロングセラーコーナーや話題書・新刊、ビジネス書、文芸書・詩と続き、全国的な売れ筋を置きがちな店とはやはり一線を画している。料理や育児・児童書も、厳選して置いてあることがわかる。前出のムックでも書かれていた岩波文庫や新書・ちくま学芸文庫・講談社学術文庫はしっかり在庫。奥の低いテーブルで行われていた小規模のオススメコーナーも、丁寧なPOPがつけられている。全体的に丁寧に手間をかけてらして、紹介したくなる、こんな本屋が近所に欲しいと思う気持ち、わかるなあと感じた。

会計時、旅行に来ていて、自分も書店をしようと思っているとお話しすると「ええっ?今から?大変ですよ…」「うちも家族でやってなんとかやっていけてる」「あらまあ頑張ってくださいね…」と苦労されたが故のお言葉をいただく。実質的に教科書や定期購読(配達)が多く、とても店売りじゃあやっていけないですよ、と。阿蘇の「竹とんぼ」さんも9割は外商(契約した取引先から注文を受け届ける)だとおっしゃっていた。
そう、よほど人通りの良い立地でしっかり売れるジャンルでもなければ、小さい書店の経営は成り立たない。普通にやっていても仕方ない。これは書店に限らず、個人商売どこもきっとそうだろう。
だからどのお店も、どうやって知ってもらうか、他の販売方法・取引方法がないか、考え、挑戦する。注文してもらえる関係づくりに奔走し、年月を積み重ねることでやっと信頼を築いていく。そして何より、商品知識を伸ばす努力をする。
生半可に自分が好きな本を売れたらいいなあなんて言っていたら、食べていくための仕事にできるはずがない。
当たり前だけれど大切な厳しさに気づかされ、それを実践し続けてきた「根木青紅堂」さん「竹とんぼ」さん、全国の諸先輩方に改めて尊敬の念を抱きつつ「じゃあ自分はどうするんだ」とぐるぐる考えメモを書き散らしながら大分へと戻りました。

大分市内に戻ってから、「明林堂書店大分本店」のMさんへ挨拶に行く。大分でのブックイベント、書店員フリーペーパー<晴耕雨読>などに携わっていらっしゃるベテランだ。
昨年のブックイベント(ブックオカなど)でお会いして以来、FBで情報を共有するくらいだったけれど、直接「頑張って!」と言っていただけて、気持ちがへこたれていただけにとても嬉しかった。行けなかった国東半島の本を買い、再会を願いつつ失礼する。



そのまま、大分駅近くの「カモシカ書店」さんへ。
こちらも去年の開店以来、こだわりのスタイルが話題になり各所で取り上げられている。1階の百円均一コーナーを抜けて階段を上り、鉄のドアを開けると、静かな落ち着いた空間が広がっていた。古本と直接取引のタイトルがメイン。古本は比較的スタンダードな品揃えで、価格も手ごろ。点数も多めだけれど、棚が大きいので余裕がある置き方がされていて、その空間の余白がまた別の本を連想させる。きっとこれからもっといろんな本が増えていくことを予感させる、良い余白だなあと感じた。
直接取引をしている本に独自のカラーがあって、他では見ない際立って個性的な本が多かった。こだわりのトートバッグやブックカバーなど、雑貨もあり、飲食も充実。今まで本を読まなかったという人にもアピールできる、面白い本屋になりそうなお店。次訪れた時にどんな雰囲気になっているか見てみたいなあと思った。

色んな事を試みれば、賛否両論になるかもしれない、もしかしたら失敗するかもしれない。それでも、本気でやれば応援してくれる人もいるし、続けることで見えてくることもあるはず。
だから一生懸命努力する人を心から尊敬するし、自分も自分なりのやり方を考えてやっていきたいなあ(できる限り楽しく)と、心から思った一日でした。

そんなこんなでうろうろしながら別府へ移動し、ホテルの温泉で疲れを癒して眠り、翌日別府地獄めぐりで愉快に元気になりました。
ということで続きはまた次回。





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